多言語と文化をつなぐ架け橋:スペイン撮影コーディネーターが語る海外撮影の魅力

2026.08.05

多言語と文化をつなぐ架け橋:スペイン撮影コーディネーターが語る海外撮影の魅力

海外撮影では、現地との調整やロケコーディネート、撮影許可の取得、ロケハン、通訳などを担う撮影コーディネーターの存在が欠かせません。

今回は、スペインを拠点に活動し、日本語・スペイン語・中国語・英語など複数の言語を活かして数多くの海外撮影を支えてきた河合妙子さんにお話を伺いました。写真通信社で培った経験、多言語を活かした仕事、スペイン撮影の魅力、そして映像制作への想いについて語っていただきます。

海外撮影を支える撮影コーディネーターへの道

まずは自己紹介をお願いします。

河合妙子です。ニッポン・プロダクションでは「コミュニケーション・マネジャー(CM)」として、人事を担当しています。

映像制作業界に入ったきっかけを教えてください。

20代前半に東京・麻布の写真通信社へ入社したことが、この業界に入るきっかけでした。当時はまだインターネットが普及しておらず、広告会社や出版社が写真のポジフィルムを借りに来る時代でした。

編集者が来る前に必要な写真を準備する仕事を通じて、毎日何千枚もの写真に触れ、自然と構図や見せ方が身についたと思います。この経験は現在の撮影コーディネーターやライター、フォトグラファーとしての仕事にも活きています。

ニッポン・プロダクションとの出会いを教えてください。

最初の仕事は、スペインで日本テレビ『真相報道 バンキシャ!』の取材コーディネートを担当したことでした。その後、国際色豊かなスタッフと仕事をする中で、多様な価値観や個性に触れられる環境に魅力を感じました。これからも、国際的な現場だからこそ得られる発見を大切にしながら仕事を続けていきたいと思っています。

多言語を活かした海外撮影と異文化コミュニケーション

日本語以外の言語はどのような場面で活かされていますか?

スペイン語は毎日の生活や仕事に欠かせない言語です。撮影現場での通訳や現地スタッフとの調整、税務署とのやり取りまで、日々さまざまな場面で使っています。

中国語は世界中で役立つ機会が多く、海外で困っている中国の方に声をかけたり、中国の方が営むお店で立ち話をしたりすることもあります。ローマやブルキナファソでも役立ったことがありました(笑)

英語は海外スタッフとの会議や資料確認、旅行など幅広く活用しています。また、以前パリで暮らしていた経験からフランス語も身につき、取材や旅行で役立っています。

異文化の現場で特に大切にしていることはありますか?

一番大切なのは、「ありがとう」という気持ちを伝えること。そして、「それは違う」「それは困る」ということも、相手を尊重しながらきちんと伝えることです。同時に、相手が本当に伝えたいことをくみ取る姿勢も欠かせません。言葉だけでなく、お互いを理解しようとする姿勢が、良い海外撮影につながると思っています。

スペイン撮影だからこそ出会える魅力

スペイン撮影現場

スペインならではのロケーションの魅力を教えてください。

スペインには古代ローマ、西ゴート、イスラム、カトリックなど、さまざまな文化が積み重なっています。さらにフラメンコやラテン文化、サッカーなども融合し、どこを切り取っても「スペインらしさ」を感じられるロケーションが広がっています。

一見何気ない風景でも、その土地ならではの空気や精神が写真や映像に自然と映り込むところが面白いですね。スペインでの撮影や映像制作では、歴史や文化そのものが作品の魅力になると感じています。

スペインの文化は撮影スタイルにも影響していますか?

そう思います。ダリ、ピカソ、ベラスケス、セルバンテス、アルモドバル、そしてZARAやLOEWEなど、スペインには世界的な芸術やデザインがあります。そんな文化の中で育った人たちは、自然と芸術的な感覚を持っています。

撮影現場でも、どんな話題からでも会話が弾み、新しいアイデアが生まれることがあります。そうした空気感も、スペインで撮影する魅力の一つだと感じています。

日本人ならではの視点が作品に表れたと感じることはありますか?

海外のフォトグラファーが日本を撮ると、日本人とは違う雰囲気の作品になりますよね。

私も日本人としてスペインを撮ることで、現地の人とは違う視点が自然と作品に表れているのかもしれません。最近撮影したスペインの教会の動画は19万回以上再生されましたが、日本人ならではの視点も関係しているのかなと感じています。

撮影コーディネーターとして大切にしていること

撮影現場で心掛けていることは何ですか?

「何を撮りたいのか」「何を伝えたいのか」「何がポイントなのか」をできるだけ具体的に共有することです。ロケハンや撮影許可の取得、現地スタッフとの調整など、海外撮影では事前準備から多くの人が関わります。そのため、撮影コーディネーターが目的や演出イメージを正確に伝えることで、チーム全体が同じ方向を向き、より良い映像制作につながると思っています。 

印象に残っている海外撮影を教えてください。

16世紀にスペインからトルコへ渡ったユダヤ人(セファルディ)の子孫を訪ねる取材では、ジブラルタル、モロッコ、ギリシャ、トルコを巡りました。

取材先で「今日は土曜日だから文字は書けないの」と言われ、ユダヤ教の安息日に文字を書かない習慣を初めて知りました。海外撮影だからこそ、文化や宗教を深く知ることができた忘れられない経験です。

海外撮影で印象に残るハプニングはありますか?

旅番組の撮影後、日本のスタッフがレンタカーにガソリンとディーゼルを間違えて給油してしまい、車が動かなくなったことがありました。

スペインではディーゼル車が多いため起こった出来事でしたが、「疲れ」と「節約」は大きなトラブルにつながることを改めて実感しました。無理をせず、必要に応じて車両や現地ドライバーを手配することも海外撮影では大切だと思っています。

特に難しかった撮影はありましたか?

光や撮影場所の条件が厳しく、何を撮ってほしいのか具体的な指示もないまま、動きのある映像を撮ることになったことがあります。舞台は明るいのに周囲は暗く、本当に難しい撮影でした。そのときは「神に祈る」しかありませんでした(笑)。結果的には喜んでいただける映像を撮ることができ、一安心でした。

これからの目標と映像への想い

今後挑戦したいことを教えてください。

動画撮影は始めたばかりで、最近ジンバルも購入したので、これからどんどん練習していきたいと思っています。写真とはまた違う映像の面白さも感じながら、海外ロケや現地コーディネートの現場でも、より良い映像制作に活かせるよう経験を積んでいきたいですね。 

人生で熱中したことはありますか?

言語習得と車の運転ですね。

熱中するというより、自分を熱中状態にしておかないと何も身につかないタイプなんです。気が付いたら夢中になっていて、自然と没頭していることが多いですね。その積み重ねが、多言語でのコミュニケーションや海外撮影の現場で状況に応じて判断する力など、今の撮影コーディネーターとしての仕事にもつながっていると思います。 

映像を通して今後伝えていきたいことはありますか?

この目まぐるしい時代だからこそ、人が忘れかけている大切な心や精神を、写真や映像を通して伝えていきたいと思っています。

例えば、「欲望より節制」「自己主張より他人に譲る精神」。そうした価値観を、作品を見た人が自然と振り返るきっかけになるような映像を目指したいですね。そして、私自身も「社会や時代の流れに押されないこと」「ブレないこと」を大切にしながら、これからも自分らしい作品づくりを続けていきたいと思っています。

海外撮影を成功に導く撮影コーディネーターの存在

海外撮影では、語学力だけでなく、異文化への理解や現地スタッフとの信頼関係、そして柔軟なコミュニケーションが欠かせません。撮影コーディネーターは、日本と現地をつなぐ重要な存在として、作品づくりを支えています。

河合さんのお話からは、スペインという国の多彩な文化や芸術性だけでなく、「相手を理解すること」「感謝を伝えること」を大切にしながら仕事に向き合う姿勢が伝わってきました。多言語を活かし、さまざまな文化を尊重しながら映像制作を支える姿は、海外撮影ならではの魅力を象徴していると言えるでしょう。

ニッポン・プロダクションでは、スペインをはじめ世界各国の撮影コーディネーターと連携し、テレビ番組やCM、ドキュメンタリー、企業映像など幅広い海外撮影をサポートしています。海外ロケコーディネートをはじめ、ロケハン、撮影許可の取得、現地スタッフ・機材の手配、ドローン撮影、通訳・翻訳まで一貫して対応し、お客様の目的やご要望に合わせた映像制作をサポートしています。

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